お風呂は高齢者のうつ病予防に効く?~最新の調査結果より~
2023.12.01

ご存じの通り、入浴にはリラックス効果や温熱効果、疲労回復や体の痛みの軽減などさまざまなメリットが期待できますが、高齢者のうつ病予防にも効果があるとの調査結果が今年7月に発表されました。そこで、今回はこの話題についてご紹介しましょう。

高齢者のうつ病とは?

うつ病というと、忙しい現役世代の人がかかりやすいイメージがありますが、実は高齢者のうつ病患者も少なくありません。うつ病の原因は慢性的なストレスと環境の変化だと考えられていますが、歳を重ねるほどに親族や友人が亡くなったり、高齢者施設への入居のため住み慣れた自宅を離れるなど、人生のよりどころを失う経験が増えていき、時として大きなストレスとなるからです。

高齢者のうつ病は抑うつ気分や食欲の減退・増加という形でまず現れがちですが、それが生活意欲や集中力、認知機能の低下につながり、さまざまな疾患や要介護状態に陥るきっかけとなることも珍しくありません。したがって、うつ病予防は高齢者の健康を考える上で、非常に重要なポイントと言えます。

うつ発症の初期段階は抑うつ気分や食欲の増減が一般的
やがてさまざまな疾患へとつながることも

高齢者約3,200人を6年間にわたって追跡調査

今回ご紹介する調査結果は、そうした高齢者のうつ病予防に高齢者の浴槽入浴がどのような効果があるかを東京都市大学の研究グループが追跡調査したもの。高齢者約3,200人を浴槽入浴の回数が週0~6回の群と7回以上の2群に分け、2010年時点で自立していて、うつ病と診断されていない高齢者が、6年後の2016年にどういう診断を受けたかを研究・解析。その結果、6年後のうつ病発症率は、夏場で週の浴槽入浴回数が0~6回の群は12.9%、7回以上の群は11.2%で、冬場では0~6回の群は13.9%、7回以上の群は10.6%でした。つまり、夏冬ともに週7回以上浴槽入浴する群のほうがうつ病の発症率が低く、特に冬場に有意差(たまたま起こったのではなく、何らかの意味がある差)が見られたということになります。

浴槽入浴の回数が週に6回以下と7回以上の2群に分けて研究・解析
夏冬ともに浴槽入浴が週7回以上の群のほうがうつ病発症率が低いという結果が

入浴事故には気をつけて良いバスタイムを

もちろん「毎日浴槽入浴していればうつ病にならない」と言ってしまえるほど簡単なものではないでしょうが、この調査結果からは日本ならではの「浴槽につかる入浴」が肉体的なメリットだけでなく、まだまだ可能性を秘めていることが読み取れます。高齢化が進む現代日本においてご高齢の方の心身の健康を守ることは重要な課題ですが、多少なりとも福音となるかもしれません。 ヒートショックや転倒など入浴中の事故には十分に対策を行い、ご高齢の皆さんにも日々のバスタイムを楽しんでいただきたいところです。

肉体的なメリット以外にも、浴槽入浴にはまだまだ可能性が
手すりや滑りにくい床材など浴室設備を整え、入浴中の事故防止を図りましょう

高齢者の安心入浴に向けた対策は、水まわりのプロにご相談を。
ご高齢の方の安心入浴には、手すりの設置や段差の解消、浴室暖房の導入など検討すべき点が多々あります。対応策はちょっとした設備改善から浴室全体のリフォームまで多岐にわたっており、信頼のおける設備の専門家に相談したいところです。そこで頼っていただきたいのが、当組合の組合員企業。いずれも地域に根づいた水まわりのプロぞろいです。お気軽にお近くの『ゆーゆーネット』の販売店にお問い合わせください。

〈高齢者の入浴に向けた設備改善商品例〉

JFE建材「高齢者対応浴槽
・楽々またげる高さ55cm
・安心して移動できる手すり付
・ゆっくり入浴できる腰掛スペース
・湯底と腰掛スペースに滑り止めのエンボス加工

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東神工業「浴室スノコ」
・浴室に合わせてぴったりサイズで製作
・軽量の発泡ポリエチレン製
・表面加工により濡れても滑らない安全設計
・発泡樹脂製でスノコ表面は温かく快適

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