
寒くなってくると、じっくり浴槽につかって温まりたくなるもの。時には柚子湯などを楽しんでみたくなります。ところで、こうした季節湯の風習はどこで生まれ、いつ頃から広まったのでしょうか。そこで、今回は季節湯に代表される「薬湯」文化の歴史についてご紹介しましょう。
漢方としての薬湯文化
薬湯の起源ははっきりとはわかりませんが、紀元前2世紀頃に記された医学書の中に薬湯についての記述が見受けられることから、相当古くから漢方医療の一環として薬湯が用いられていたことがわかります。自然由来の薬、すなわち生薬として植物の葉などを入れた湯を医療に役立ててきたわけです。
現在のように薬湯に体をひたす沐浴以外にも、薬湯の湯気を浴びたり、足湯のように患部のみをひたしたり、あるいは薬湯をしみこませた布を患部に当てる湿布など、さまざまな方法で利用されていたようです。


弘法大師が日本に伝承?
そんな薬湯の文化がいつ頃我が国に伝わったかというと、9世紀頃の遣唐使派遣がきっかけだったようです。
遣唐使は唐の国の先進的な技術や政治制度、文化、仏典等の収集が目的の留学生派遣制度であり、一説によると薬湯文化を持ち帰って寺院や貴族に広めたのは留学生の空海、後の弘法大師だと言われています。
弘法大師と言えば、全国各地にゆかりの温泉地や井戸が残されており、お風呂に縁の深い存在と言えるかもしれません。


季節湯が庶民に広まったのは江戸期
かくして平安時代に日本に伝わった薬湯文化ですが、「季節湯」として本格的に庶民に普及したのはずっと後の江戸時代。町民たちに愛された湯屋の企画として、端午の節句の「菖蒲湯」、夏の土用の「桃湯」、冬至の「柚子湯」などが流行し、広く知られるようになりました。
この時生まれた12カ月それぞれの「季節湯」が、今に至るまで日本独特の風習として根づいているのです。


季節湯を楽しんだら、風呂掃除を
ご家庭で柚子湯などを楽しむ際は、果肉が浴槽内に散らばらないようご注意ください。
また、入浴後はしっかり掃除をしておきましょう。念のため、配管内も洗浄することをおすすめします。
〈代表的な12カ月の季節湯〉

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